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ツィポラ、割礼、血の花婿(1) [聖書と釈義]

出エジプト記4章24~26節

注解書が紹介する諸説に惑わされず、聖書そのものをちゃんと読む。

1.主はなぜモーセを殺そうとしたのか
 ファラオの心がかたくなであったのは、ファラオ自身の思いによるものであったが、しかしイスラエルの民はそこに何らかの意味を見出して、主がそうさせたと受け止めた(4:21、7:3、10:20、27、11:10、14:4、8、17)。
 同じように、主がモーセを「殺そうとされた」(24節)のも、モーセが例えば急病で死にそうになったなど、何らかの命の危機に陥ったが、しかしそのことから起きた出来事に何らかの意味を見出し、主がそうなさったと受け止めることもできる。

2.使命遂行に当たって
 主から使命を与えられてエジプトに向かうその「途中」(24節)での出来事である。使命を遂行するに当たって、主は何か大切なことを示されたのではないだろうか。ちょうど創世記32:23~のヤコブのペヌエルでの格闘のように。

3.神によって殺されそうになったのは誰か
 神が殺そうとされたのは、文脈から明らかに、モーセの他は考えられない。殺されそうになったのは息子の方だったと言う説は、ヘブライ語原文が代名詞であることを考慮しても、テキスト上根拠がない。

4.割礼を受けていたか
 モーセとツィポラの夫婦の間に生まれた子ゲルショム(2:22)は、これまで割礼を受けていなかったからこそ、ここで割礼が施された。ゲルショムが割礼を受けていなかったのは、異国ミディアン生まれであったためと考えられる。
 一方、モーセが割礼を受けていなかったとの説があるようだが、創世記17:12によれば生後8日目に割礼を受けることになっていたのであり、モーセは3ヶ月間は両親の元におかれていた(2:2)ので、モーセが割礼を受けていなかった(という設定でこの記事が記された)とは考えにくい。

5.割礼の有無が問題か
 創世記17:14に無割礼の者は断たれるとあるが、ここで割礼の有無が問題だとしたら、息子の方が殺されそうになったはずである。それゆえ、息子が無割礼だったことはここでの問題ではない。

6.割礼の血がモーセの「両足」に付けられた意味
 すると、ポイントは、モーセの「両足」(25節)、すなわち――多くの注解者が指摘しているように――モーセの陰部に割礼の血を付けたという点だろう。この行為によって、モーセが割礼を受けた者であることが強調されている。
 もっとも、割礼の血が誰に付けられたかは、原文では代名詞であって、モーセとも彼の息子とも考えられるが、「血の花婿」の意味を素直に以下のような意味に取れば、ここでツィポラが息子の割礼の血を付けたのは、モーセの「両足」であったとするのが適当であろう。

7.「血の花婿」の意味
 ここで血というのは割礼の血のことであるから、ツィポラが「血の花婿」と言った(25節)のは、「割礼を受けた夫」という意味であり、ツィポラは自分の夫が割礼を受けた者であることを主張したのであった。

8.神との契約関係の強調
 モーセの陰部に割礼の血が付けられたことと「血の花婿」と言ったことと両方あわせて、モーセが割礼を受け、神との契約関係の中にある主の民の一員であることが強調されている。それで、主は、使命を託したモーセを、何らかの命の危機から助けられた。

9.ツィポラの役割
 割礼の血をモーセの陰部に付け、「血の花婿」と言って、モーセが割礼を受けた者であることをはっきりと示したのは、ツィポラである。ツィポラは異国人であったが、この出来事を通して、エジプトに入る前に、自分たちの家族が主との契約関係にある主の民の一員であることを強く自覚させられた。そこに、神の配慮があると見ることができる。

10.使命を遂行するために家族全員が備えられる
 モーセもツィポラも、主から与えられた使命を遂行するに当たって、その前に、自分たちが主との契約関係にある主の民の一員であることを強く自覚させられ、また、無割礼であった息子もこの出来事の中で、割礼を受けて主の民としてふさわしくされるに至った。エジプトでの使命を遂行するために、夫婦も、子供も、家族全員がそれに相応しく整えられるのである。

11.やっぱり、主がモーセを殺そうとした
 結局、モーセが病気か何かで命を落としそうになったことは、エジプトに入るまえに、家族全員が契約の民の一員として整えられるためであった。それゆえ、モーセの命の危機は、主なる神が意図を持って引き起こしたことであったと受け止めることができる。まさに、主が「彼を殺そうとされた」のである。

(続く)

(2012.5.1加筆)


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