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詩編のアルファベット歌 [聖書と釈義]


詩編のアルファベット詩とかアルファベット歌と呼ばれる作品の特徴と詩編の中での意味について。

1.旧約聖書のどこにアルファベット歌があるか

詩編9~10、25、34、37、111、112、119、145、
哀歌1、2、3、4、
箴言31:10~31。
  • 詩編9と10は、あわせて一つのアルファベット歌。
  • 新共同訳聖書の古い版では、詩編112のところに(アルファベットによる詩)と入っていないが、後に訂正された。111編と112編はそれぞれがアレフからタウまで揃ったアルファベット詩である。
  • ナホム1章もアルファベット詩っぽいが、ダーレトがないしカフで終わっちゃってる。ナホム、がんばっぺ!
  • ちなみに、哀歌5章は、アルファベット歌になっていないのに、節の数だけ22にあわせている。哀歌、どうしたんだ?

2.アルファベット歌の意義

  • 文字自体が力を持っていると考えられていた。
  • 暗記を助けるため。
  • 思想的な全体性を表現している。

などの諸説がある。

詩編のアルファベット歌の内容から、信仰生活と律法の教育のためと考えられる。

文 献:
太田道子「詩編 序論」、『新共同訳旧約聖書注解Ⅱ』p.91。

3.完全なアルファベット順か?

詩編のアルファベット歌も全部が完全であるわけではなく、途中、抜けがあったり、順番が入れ替わっていたりする。

  • 詩編9~10編:ダーレトがない。メーム、ヌン、サーメクもない。アインとペーが逆。ツァーデーもない。
  • 詩編25編:ベートが節の頭にない。ワウがない。コフもない。
  • 詩編34編:ワウがない。
  • 詩編37編:アインがない。
  • 詩編111編:完璧。
  • 詩編112編:完璧。
  • 詩編119編:完璧。
  • 詩編145編:ヌンがない。

4.詩編の中の特徴

特徴(1)

  • 詩編の中のアルファベット歌は、五部に分けられる詩編の第一部(1~41編)と第五部(107~150編)に出てくる。間の第2~4部にはない。
  • 詩編が5部に分けられるのは、律法(モーセ五書)にちなんでいる。
  • ということは、詩編の最初の部と最後の部にアルファベット歌が出てくるのは、律法や神の御業の完全さを印象づけるためと考えられる。

特徴(2)

  • 詩編第一部に含まれるアルファベット歌はどれも不完全である。
  • それに対し、詩編第五部に含まれるアルファベット歌は、ほぼ完璧である。

5.詩編第五部の中で

  • 111と112のアルファベット歌の後に、113~117編のハレルヤ詩編が続いている。
  • 119編の長大なアルファベット歌の後、120~134編の長い「都に上る歌」で都に上ってゆき、135編のハレルヤ詩編に至る。
  • 145編のアルファベット歌の後に、146~150編のハレルヤ詩編が続いている。

というわけで、アルファベット歌は、律法や神の御業の完全さを印象づけて、ハレルヤという賛美を導いている。

参考文献:
大住雄一「『詩篇研究』への補遺――アルファベットうたをめぐって」、『果てなき探究 旧約聖書の深みへ――左近淑記念論文集』、教文館、2002年、pp.186-206。