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並木浩一著作集のヨブ記論 [読書メモ]


並木浩一、『並木浩一著作集1 ヨブ記の全体像』(日本基督教団出版局、2013年)の中の「ヨブ記」論。

『並木浩一著作集1 ヨブ記の全体像』の目次

  • まえがき
  • 第一部 ヨブ記の全体像を求めて
  • 1 ヨブ記 緒論
  • 2 神の弁論は何を意味するか
  • 3 対話のドラマトゥルギー ヨブと神
  • 第二部 ヨブ記の主張と表現の特色
  • 1 ヨブ記のレトリック
  • 2 ヨブ記とヤハウィスト
  • 3 神との闘争と和解の賜物としてのヨブの霊性
  • 第三部 ヨブ記と取り組んだ人々
  • 1 ヨブ記と内村鑑三
  • 付論 ヨブ記における契約──創造と契約
  • 2 ヨブ記と賀川豊彦

メ モ

ざっと目を通しただけだけど。

「まえがき」

「ヨブはなぜ、これほどまでに友人たちが説く従順の勧めを拒み続け、神に対する執拗な抗議を続けたのであろうか。それは神に対する信頼を失わなかったからではなかろうか。神への深い信頼なしに神の厳しい叱責を心からの感謝をもって聞くことができたであろうか。・・・神はヨブが「確かなこと」を語ったことを宣言した。それはヨブが神への信頼に基づいて、神の正義を問い続けたからにほかならない・・・。」

(p.9-10)

「「終曲」をヨブ記にとっては余計なものだと見なす判断は、今日なお根強いものがある。一般に納得されるようなかたちでこの問題に解答することはできないだろう。「終曲」をヨブ記に不可欠だと見なす根拠は、神学的な感覚に基づく判断である。それは残念ながら万人に共有されることはない。」

(p.11)

1.ヨブ記 緒論

  • 『旧約聖書ⅩⅡ ヨブ記 箴言』、岩波書店、2004年の巻末の「解説」。
  • 参考文献(日本における近年の文献からの抜粋)には、2011年のフランシスコ会訳聖書や佐々木勝彦『理由もなく ヨブ記を問う』(教文館)まで記されている。

2.神の弁論は何を意味するか

  • 日本旧約学会『旧約学研究』No.1(2004年)所収の「神の弁論(ヨブ記38-41章)は何を意味するか」に、導入部分を加筆して収録(p.326の「初出一覧」では『旧約学論集』になっちゃってる)。
  • 「読みの多様性を紹介するものであり、「概説」(本書の第一論文「ヨブ記 緒論」のこと)を補完する意味を持つ」とのこと。(p.14)
  • C.G.ユング『ヨブへの答え』について、佐々木勝彦『理由もなく ヨブ記を問う』(教文館、2011)の中で適切な紹介と批判がなされているとのこと。(p.86)
「ヨブ記は「応報思想」を批判したが、「応報原理」は正義の基本であるゆえに、これを否定してはいない。ただ、人は個人的、社会的な視野を越えて、創造世界における秩序と世界の隅々にまで行き届く神の配慮を視野に収める必要がある。個人的、共同体的な正義だけが正しさのすべてではない。ヨブ記は読者に、この世界における共同体的な正義の特殊な意味づけを知るようにと訴えている。
 創造世界はさまざまな悪を含みつつ生の秩序を維持する。・・・人間も神の保護なしには生を維持できないが、・・・最初の夫婦がエデンの園を出て以来、人類は自己の生を配慮しなければならないという運命を背負った。人は・・・社会を形成し、自律的に秩序を形成しなければ生存できない。・・・モラルは社会生活を維持するための人間の条件であり、・・・社会生活の悲惨と不正義を防ぐのは人間の責任である。この責任を担って生きることが神と人間との関わりの基盤である。」

(p.85-86)

3.対話のドラマトゥルギー ヨブと神

  • 旧約聖書翻訳委員会編、『聖書を読む 旧約篇』、岩波書店、2005年に所収。
  • 「付記」あり。「ヨブ記」を理解する基礎としての「相互テクスト性」については『「ヨブ記」論集成』の中の「ヨブ記における相互テクスト性・・・」と「神義論とヨブ記」を参照せよとのこと。
  • 42:2の動詞を子音字本文に従って「あなたは知っている」と訳す試みは、ジャンセン(飯謙訳)『現代聖書注解 ヨブ記』(日本基督教団出版局、1989)(原著1985年)によってすでになされていたことを記している。

4.ヨブ記のレトリック

  • 書き下ろし
  • 「付記」あり。アンティフラシスについての部分は、『旧約学研究』No.9(2012年)、『旧約聖書と説教』(日本基督教団出版局、2013年)収録のものから専門的な叙述を省き、説明文には細かく手を入れたとのこと。

5.ヨブ記とヤハウィスト

  • 『国際基督教大学学報Ⅳ-B 人文科学研究 キリスト教と文化』No.42、2011年に所収。
  • 山我哲雄『海の奇蹟 モーセ五書論集』(聖公会出版、2012年)について、第1章「モーセ五書の成立」は「従来の資料説を要領よく紹介し、第11章でモーセ五書の最終形態を論じている。・・・五書に関心を持つ者には必読の書である。」(p.205)。
「ヤハウィストは・・・人類全体を視野に入れて、人類と民族を導く神の恵みを叙述した。」一方、ヨブ記は「一人の例外的に正しい人間に下る未曾有の苦難を取り上げ・・・、神の正義と被造世界の統治の問題を論ずる。両者はその視角と内容においてまったく違う。それにもかかわらず、・・・両者における思考方法と人間らしい生の条件の設定には、著しい構造的な類似性が認められる。」

(P.203)

6.神との闘争と和解の賜物としてのヨブの霊性

  • 『回顧即感謝 清水護先生百歳記念論文集』、2008年に所収。
  • 「付記」あり。清水護の簡単な紹介。

7.ヨブ記と内村鑑三

  • 内村鑑三研究所『所報』No.17、2012年に所収。

付論 ヨブ記における契約――創造と救済

  • 書き下ろし
  • 「付記」あり。

8.ヨブ記と賀川豊彦